私は30年ほど勤めた会社を、52歳の時に辞めました。3年ほど前ですね。今年55歳になりますが、3回目の転職をしました。転職をする度に年収が上がって、今では年収1千万円を超えています。
どうやら中高年の転職事情は悪くないようなんです。データとしてはちょっと古いですが、 en worldっていうサイトの記事によると、50代の転職者の数は年々増えてきていて、2018年頃だと30万人近い50代転職者がいるようです。
そういうわけで、確かに転職のチャンスは増えてきているという風に見えるんですが…
転職エージェントとか受け入れ先の企業から声をかけられて、ちょっと年収がいいなとか、転職を安易に決めてしまうと、その後で大変なことになるかもしれません。
転職してしばらくすると気になってくるのは…
とくに年収は、条件が良くなって、少し自由に使えるお金が増えたり、新しい趣味を始めたりとか、あと会社で働いていても、最初のうちはお客様扱いしてくれたりもするので、2・3ヶ月くらいは結構楽しいかもしれません。
でも、しばらくすると、その会社の仕組みとか文化とか、あと一緒に働いてる人たちの性格みたいなところがちょっとずつ気になりだす、と思うんですね。
確かに会社で働くとき、一番大事なのは、自分がどういう仕事、業務を担当するかということだとは思うんですが、実はそれ以外にも会社の歴史とかその仕組みみたいなもの、システムを含めた仕組みですね、ベンチャーの場合は特にその創業者のキャラクターって言うか生き方みたいなものも、影響があるから、仕事の成果、評価システムですね、成果をどのように評価してくれるかは結構大事かなと。
日常的にコミュニケーションをとる上司とか同僚・部下、さらには社内外のライバル、そういった人たちとの関係性が、気持ちよく働けるかどうかに、すごく大きく影響してくると思います。
転職する前に考えておいた方がいいこと
私の個人的な意見なんですが、50代で転職をしようと考える場合ですね、3つほど考えておいた方がいいかな、と思うことがありました。
一つは、自分がそれまでに過去やってきた経験が活かせるような内容の仕事、例えば同じような業種とか、ポジションが過去経験してきたものと似てるとか、あと会社の仕組みで昔使ってたシステムが使われているとか、そういったことですね。
あとは…
50代ぐらいになってくると、さすがに現場で直接仕事をするっていう形よりは、どうしてもやっぱり管理する立場の仕事っていうのはラクなのか、ラクって言い方よくないんですが、やりやすいかなと。どんな立場であっても、発注とか委託をすることはありますが、事業について最終責任を持っている会社で働けると、振り回され感は少なくなるか、と(それでも最終顧客はいるので、程度問題ではありますが)。
また、仕事を受注するっていう立場で働くよりは、他の会社に委託して仕事をする、管理する仕事の方が働きやすいと思いますし、長く働けるのかなという気もします。
わたしの転職体験を少しお話しすると…
私自身の例でお話すると、30年勤めた会社を辞めた後に、外資系のコンサル企業に転職しました。初めての転職ということもあって、ともかく居場所を見つけない、といけないっていう気持ちが強かった。
あんまりよく考えないで転職を決めちゃったんです。給料は良かったんです。年収で言うと、それまでより200万円ぐらいは上がりました。
ただ仕事の内容が、それまで私がやってきた仕事と立場とかが微妙にズレていて、ちょっとした違和感がありました。担当してたお客さんっていうのも、ほとんど経験がない業種でした。50歳過ぎて初めて経験するみたいなことが多くて、苦労したのを今でも覚えてます。
転職前に約30年間勤めていたコンピューター関連の会社だと、お客さんからシステム開発を請け負ったりして、グループ企業とか委託先に発注して、進捗管理プロジェクト管理をするって言ったような仕事のやり方でした。
初めて転職した会社では、システム開発を受注した会社から仕事をもらう、委託されて仕事をするという下請けの立場だったので、結構仕事がきつくて大変でしたね。給料は本当によかったんですけど、仕事はともかく大変でした。
その会社の後で、IT系ベンチャー企業に転職しました。そこもやはり、下請けの仕事をしている立場で、楽ではなかったです。
しかも、ベンチャー企業、急成長した会社だったので、システム含めて、社内の仕組みなどがかなりいい加減なところがありました。人も、言い方はよくないんですけど、かき集めてきてる、みたいな感じがあって、まとまりはよくなかった。
社内でも競争しあう、足の引っ張りあいみたいなところも時々見ました。ベンチャーっていうことで、仕事ができる若い人が多いんですけど、すごい狭い範囲の仕事経験しかない。仕事はできるけど、経験が少なくて、かなり危なっかしい感じの印象がありました。
そのベンチャーで働く仕事ができる人たちは、よく言えば向上心、別の言葉で言うと出世意識がすごく強い人が多かった。「私が私が」「俺が俺が」みたいな、そういう若い人が多いと、クタびれるところはある。そういう中に混じって50代がいると、疲れるところはありますかね(笑)
そんな時に、今働いてる会社から声をかけられました。
今度の会社は、導入済みの自社製品とかシステム保守サポートサービスをやっている部署の仕事でした。
最初は、あんまり面白い仕事ではないかなとか、定年退職した後に仕事がつながらないかな、見つからないかなとか思ったんですが…
面談して話を聞いてみると、仕事の内容は何とかなりそうだったんですけど、それ以外の給与条件とか福利厚生がともかく充実してて、企業年金みたいなところもちゃんと整備されていた。
仕事面でも、評価システムがですね、すごくしっかりしている。360度評価みたいな形で、上司が一人で判断して、それで終わりではない。上司と折り合いが悪いと、一生懸命働いても全然評価されないみたいな、そういうところがない。よい評価システムが入ってる会社で、長く勤めてる人が多いですし、本当にいい会社なのかなと。
いざ入社して働きだしたら、それまで転職してきた2社に比べて、会社の仕組みとか、働いてる人たちの意識が全然違っていた。
やっぱり、ある程度の歴史があって、人が長く働いてて、仕事の形が出来上がっている会社が、50代ぐらいから働くには楽なのかなと。
ベンチャー企業みたいなところも、人によっては合うんでしょうし、面白いという人もいると思いますけど、私の場合はちょっとさすがに仕事に全てを注ぎ込んで、土日祝日も働きます…みたいな体力も気力も無かったので、ベンチャーは合わなかったかな、という感じですね。
50代で転職するなら…
そういうわけで、私としては、歳を取ってから転職するんだったら、それまでに自分が経験してきたこととか、持ってるスキルとか資格が活かせる場所がラクだし、居心地も良いなというふうに感じました。やっぱり、知らないことを覚えるときの苦労っていうのは、歳とともにキツくなりますからね…。ラーニングカーブの上昇に耐えるだけの根気が年々なくなっていく、というのか。
それに50代になると、定年退職後のことも、そろそろ考えなきゃいけません。仕事ばっかりじゃなくて、福利厚生や企業年金が整備されてて、老後資金にどのくらい影響が出るかみたいなところも大事だと思います。
人生100年時代といわれる昨今では、投資とか起業みたいな定年後のこと、老後の資金をどうしていくか、そこはやっぱり考えておかないといけない、という気がしてます。
そういう意味では、時間的にも労力的にも余裕があるって言うのが、すごく大事なのかなと思っています。サラリーマンとしての部分で大半の時間と体力を使い切ってしまい、それ以外の自己投資とか将来の準備に時間が全然取れない…というのは、定年退職後に大きな後悔になるかな、と。
転職した会社、3社については、またいろいろと具体的な詳しいお話をしたいと思っています。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。